車の試乗に行ったらコーヒー好きの営業マンにしつこく迫られた話

数年前、車の試乗に行ったら、そこでFという営業マンが担当となり、車について懇切丁寧に説明していただきました。それは良かったのですが、問題はそこではなく迫られたのです。お客さん腰回りしっかりしていいですね。えっ、あ、ありがとうございます。

車の試乗に行ったらしつこく営業マンに迫られた。

数年前の話なのですが、車の試乗に行くと、感じの良い営業マンが担当してくれました。Fさんという方なのですが、本当に笑顔で懇切丁寧に車について説明してもらい、試乗も一緒に乗って色々とざっくばらんな会話をしながら楽しいひと時を過ごしていました。

そして、その後店内に入り、車の購入予定はないかなど、色々な話をしていると、ふいにFさんがお客さん細身のわりに腰回りしっかりしてますよね。何かスポーツとかされてるんですか?と食い気味に言われ、ありがとうございますと言ったものの変な汗をかいてしまいました。

ですが、Fさんもスポーツ好きらしく、間違った方向へ話が行かなかったので、とりあえず安心するも、今度はコーヒーの話になりました。

ところでAさん(私の事)は、コピルアクってご存じですか?と言われたので、あージャコウネコから獲れる高級なコーヒーですよねと言うと、急に目の色が輝き出し、えっ知っているんですか?と大喜び。正直詳しいことは余り分からなかったのですが、友人がコーヒー好きでたまにそういった類の話を耳にすることがあった程度でした。

しかし、このことがまさかあんな風になってしまうとは思いもしませんでした。上機嫌になったFさんは、うちの店美味いコーヒー沢山置いてあるんですよ。是非飲んで行って下さい。と言われ、ここ車屋さんだよね?と間違えそうになるくらいコーヒーについての話が始まりました。

受付の女性スタッフは、何かを感じたのか、あーFさんのいつものが始まった。みたいな表情をしている。

ここは車屋?コーヒー店?車に私情は挟まないでほしい。

試乗にきたつもりが、なぜかコーヒーショップばりの色んな種類のコーヒーを見せられ、どれがいいですか?とFさん。

これも一つ一つ懇切丁寧に味わいや匂いまで徹底的に説明してくれた。

しょうがないので私は、コレでとFさんが一番すすめてきたコーヒーを選択。満面の笑みを浮かべるFさんでしたが、実は私、コーヒーが大の苦手。

余計なことを言ったばかりに、飲みたくないコーヒーを飲むことになってしまった。それでも、せめてクリープと砂糖があれば何とかなる。そう思っていた微(かす)かな望みをFさんは見事打ち砕いてくれた。

砂糖?クリープ?邪道ですよね。コーヒーはブラックが一番。身体にもいいですからね。フルMAXの笑顔に1ミリのズレもない自信。

そう言われては、飲むしかない。ゴクリ・・苦い。胃に来る。やっぱり無理そう。そんな表情をグッと心にしまい、役者を演じる。

そうですか。美味いですか。噛みしめるように言葉を出すFさん。

そんな状況下に助け舟が現れた。それはFさんの上司らしき人からの呼び出しでした。私は瞬間的にキョロキョロと辺りを見回すと、最高のものを発見。

コーヒーも同じ水だから散水してもいいよね?

それは、座っていたイスの真後ろに置いてあった観葉植物。私は躊躇(ちゅうちょ)することなく、その観葉植物の土にコーヒーを散水(さんすい)し始めた。

よしっ!このまま全部行けば後は飲んだふりで誤魔化せる。そう思っていたのですが、そんな私に熱い視線を向ける人物がいました。

それは、少し離れた位置に座っていた客のカップル二人組でした。特に女性の方は目が大きくなっており、男性はうわーっというような冷ややかな目線。

私はあわてて散水を途中でやめ、知らん顔でコーヒーを元の位置に戻すとそこに丁度Fさんが戻ってきました。

あーすみません。色々打ち合わせがありましてと言うので、どうぞお気になさらずにと言いながら、Fさんの目線がコーヒーにいっていたので、私はすかさず残りのコーヒーを飲み干す。

あー美味しかったです。とうそぶいていると、Fさんが今度は別のものをというので、いやいやコーヒーはもう、と言うとそれではお茶なんかどうです?と言うので口直しには良いかといただくことにしました。

その頃、さきほどのカップルもコーヒーを飲みながら、担当者と談笑していました。そんな時にFさんがお茶を持ってやってきたのですが、どうやらお茶にもこだわりがあったらしく、これは、有名な九州の三翠園(さんすいえん)のお茶なんです。美味しいですよと出された。

しかし、その散水というワードがカップル達の頭に残っていたのか、女性の方が突然コーヒーを吹き出し、目の前の営業マンに向かって派手に振りかけてしまった。

営業マンに謝るカップルでしたが、営業マンはかなり険しい顔をしていました。私もそれにつられてしまい、三翠園のお茶をこぼしそうになるくらい手が震えてしまいました。

流石にお茶は散水しませんでしたが、そんなわけで次にその車屋さんに行った時は、もう観葉植物が無くなっていました。

そんなわけで皆さんも苦手なものは、初めから苦手と言いましょうね。

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